2020年12月末の決算発表がほぼ出そろいました。
決算発表は保有銘柄を点検する大事なタイミングです。長期投資家といえど、この年Ⅰ回の点検はしっかりやりたいと思います。
なお、売上、利益の増減はすべて年次のものです。
12月末決算の保有銘柄
1.「問題なし」と判断した銘柄
ユニオンパシフィック(UNP)
北米の鉄道会社です。日本の鉄道と異なり、ほぼ9割を物流が占めます。トラック輸送と比べてコスト面で相当有利ですので、内陸輸送の需要をほぼ独占することができます。
コロナ禍のため、売上10.0%減、利益8.4%減となりました。しかし、固定費をしっかりと下げて利益率を確保しています。
アマゾン(AMZN)
巣ごもり需要を受け、売上37.6%増、利益84.1%増と絶好調。赤字だった国際セグメントも黒字化しました。
ショッピファイ(SHOP)の脅威が心配ですが、まだまだ距離はあります。そして、先日ショッピファイの同業を買収したという報道もありました。
本当にショッピファイのサービスを顧客が求めるのなら、平気で同じことを、より上手にやってのけるのがアマゾンです。継続保有。
ファステナル(FAST)
産業需要は落ち込むものの、コロナによる安全需要を受けて、売上5.9%増、利益8.6%増。キャッシュフローも増加。
コロナ禍以降の落ち込みが予想されますが、従来の業績を維持すると考えると、問題なし。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
売上0.6%増、利益2.7%減。ほぼ横ばい。
もうすぐ10-Kが発表されるはずなので、これをしっかりみたいと思います。
アルトリア(MO)
売上4.2%増、営業利益5.7%増。なお、昨年度の最終利益にはJUUL売却の特損が含まれるので比較は意味なしです。
フィリップモリス(PM)
売上は3.7%減ですが、利益は12.1%増。iQoSの今後の伸びに期待です。
マクドナルド(MCD)
コロナ禍による店舗閉鎖の影響を受け、売上10.1%減、利益21.5%減となりました。
しかしフリーCFと、フランチャイズの売上はほぼ横ばいを維持しています。
コロナ禍終息後の復活は確実と思われます。(なので、株価も大きく下げていません。買い増したいのですが・・・)
コカコーラ(KO)
外食需要の落ち込みの影響で、売上11.4%減、利益13.5%減となりました。しかし、営業利益率、営業CFマージンは上昇しており、問題なしと判断です。
ネットフリックス(NFLX)
契約数も順調に伸び、フリーCFもプラスに転化しました。
独自の人事制度(エリートのみを残して、彼らに好きにさせる)が、他社には簡単にまねできない参入障壁となっています。
2.「要注意」と判断した銘柄
マコーミック(MKC)
11月決算ですが、他の12月決算の企業とほぼ同じタイミングで4Q決算が発表されます。
外食需要は落ち込むものの、巣ごもりの個人需要をうけて、売上4.8%増、利益6.4%増です。
フルタロム社の買収の効果や、利益の約半分の内部留保の使われ方に、少し注意が必要です。
ウェイストマネジメント(WM)
売上1.5%減、利益10.0%減。
コロナ禍の影響はそのうち解消されると考えられます。しかし、昨年実施した買収の効果がどう出てくるかについて要観察です。
ノイバイ貨物(NCT)
ベトナムのハノイ・ノイバイ空港の貨物業務の寡占企業の一つです。
ここ数年減収減益が続いており、今年度も売上4.3%減、6.3%減です。
ベトナムドンの為替差損と、10%を越える配当利率が心理的バイアスになって売れずにいます。
3.決算待ちの銘柄
コンチセメント(0914.HK)
保有している唯一の中国株(香港株)です。
先週末9%以上株価が急騰していますが、いい決算が漏れているのかなと妄想しています。
「セメントなんてコモディティだし、保有する価値あるの?」と思われるかもしれません。しかし、セメントは製品そのものの価格に対する輸送コストが占める割合が非常に大きいです。つまり、消費地の近くに生産地があることが、強力な競争力となります。
一帯一路政策にそって、海外進出も進められています。
12月以外決算の企業
ディズニー(DIS)(9月決算)
最新の四半期決算で、テーマパークや映画関連の大きな落ち込みが発表されています。
しかし、長い目で見て、ディスニーのブランドが毀損することはないと考えて、継続保有です。
ビザ(V)(9月決算)
こちらも先日の四半期決算で旅行需要の落ち込みが発表されています。
コロナ禍の影響は一時的なものと考えられます。
むしろ、フィンテックによって現れる新しい決済手段に要注意です。
マイクロソフト(MSFT)(6月決算)
記事にしたことはありませんでしたが、先日保有開始しました。
オフィス業務をしている方は、日頃Windows, Office365, Sharepoint, Teamsなど、同社の製品、サービスを利用されていることが多いと思います。
仮に他社の安い製品があっても、顧客をはじめとする他社がマイクロソフト製品を使っていることから、乗り換えるコストは大きいと感じるはずです。(ネットワーク効果)
ソフトバンク(9434.T)(3月決算)
やんちゃな親会社の方ではなく、堅実な携帯キャリアの方です。
政府の値下げ圧力や楽天モバイルの影響がどの程度か、要注意。
さいごに
よく「グロース株」、「バリュー株」という分類をしたり、そのどちらがよいのかなどの議論も目にします。
私はあまりこのような分類を意識して銘柄選びをしていません。
成長フェーズ、還元フェーズのいずれにあるかに関わらず、以下の視点から銘柄を選んでいます。
- 今後、5年、10年にわたって、潤沢な需要が見込まれ、その需要を強固な参入障壁で囲い続けられるか。
- 利益を株主のために使っているか。特に、配当や自社株買いで直接還元していない内部留保がある場合には、それが将来の増益につながっているか。
- そして、これは1点目とも関連しますが、「その事業価値を理解することができ、暴落時に自信をもって保有し続けられるか」という視点も重要です。(ですので、事業内容をよく理解できない分野や、そのもの自体が利益を生まないゴールドのようなコモディティは避けたいところです。)
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