バフェットが買ったBarrick Goldを数字で見てみる

先日バフェットさんが、従来のお気に入りの金融株を売ったのと同時に、カナダに本籍を置く金鉱会社Barrick Gold(ティッカー GOLD)に投資したというニュースがありました。

私はバフェットさんを尊敬していますし、「永続的な企業を保有し続ける」という考え方をできるだけまねしようとして、この十数年投資活動を行ってきました。

しかし、バフェットさんが保有する銘柄については、どうしても腹落ちするところまで理解できず、まねできないものがいくつかあります。

例えば、バフェットさんが最近売った航空株、金融株、現在の最大保有銘柄であるアップル、そして今回の金鉱株です。

金鉱株をはじめとした資源銘柄については、産品の相場に業績が大きく左右されることや、そもそも付加価値があまりないことから、いままで投資を避けてきました。

(最近まで中国ガス0384.HKを持っていましたが、これはガス供給インフラの独占性に目をつけてのものでした。売ってしまいましたけれど。)

数字を見てみる

バフェットさんが「最近金の値段が上がっているから、金鉱株でも買っておくか」くらいの軽い気持ちで買ったわけではないでしょう。

バフェットさんがGOLDを買った理由を少しでも知るために、同社の業績について調べてみました。

同社の業績はブレが大きいため、20年分の年次報告書から数字を拾ってみました(元データ)。

PL:

棒グラフが売上、線グラフが利益の推移です。(単位は m USD)

売上、利益とも、同じ縦軸です!

先ほども書いたように、利益の年次の変動がすさまじいです。売上は、買収を繰り返して増えていったようですが、最近は低迷しています。

なお、2019/12の利益には、ザンビア政府からの過去の税の払い戻し3,000 m USDが含まれています。

ROA, ROE:

こちらも、まさにジェットコースター。

株主還元:

自社株買いはしていません。配当の推移。

売り上げの低迷とともに配当も下がってきています。昨年度は先に書いたザンビア政府からの払い戻し分が反映されているのでしょう。

利益が安定していないので、配当性向もよくわかりません。

CF:

営業CFは、ほぼ安定してプラスで推移しています。しかし、投資が大きく、フリーCFも安定していません。

事業内容は?

年次報告書から事業内容に関する情報も拾ってみます。

採掘地域:

北南米とアフリカが主な採掘地域です。なお、金だけで単独でとれるわけではなく、たいてい銅も一緒にとれるようです。(チリが銅の産出が多いって、昔社会の授業で習ったのを思い出しました。)

今後の見通し:

今後10年の産出見込みも開示されています。

ほぼ安定して算出できる見込みのようですね。半分近くがアフリカからの算出です。

株価

5年チャート: PERは約12、配当利率は1.12%。今後もそれほど成長の見込みがないことを考えると、配当利率はあまり魅力的ではないですね。

もう少し長く20年のチャートも見ておきます。

2012年頃(横軸の真ん中あたり)で買ってしまっていれば、まさに塩漬け株になっているところです。

結論

数字を見る限り、正直買いたいと思う銘柄ではありません。

やはりバフェットさんは、今後金の価格が長期的に上がることを見込んで同社に投資したということなのでしょうか?

バフェットさんの言葉を聞いてその投資の極意を理解していたようなつもりになっていましたが、実は天才の考え方のこれぽっちも理解できていないのかもしれません。

しかし、「バフェットが買った銘柄だから、買っても大丈夫!」と盲目的に尻馬に乗る愚だけは避けたいと思います。

投資と人生は自己責任で。

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