【投資方針】「成長機会」より「安定した経営・政情」

皆さんは、どんな方針で銘柄を選択されているでしょうか。

私の場合、過去約17年の投資活動を振り返ると、当初の「成長機会」を狙う方針から、現在は「安定した経営・政情」を重視する方針に転換しています。

その理由と経緯について、まとめてみたいと思います。

中国株から投資を始めた

過去の記事にも何度か書いていますが、私は2004年から中国株で投資活動を始めました。

たまたま寄った本屋さんで、邱永漢さんの「中国株の基礎知識」という本に出合ったのがきっかけです。

当時はまさに中国の経済成長が加速しつつある時期でした。この成長の波に乗らんとして徐々に本土株、香港株を買い進めました。

2007年には、「H株直通車バブル」が沸き起こり、保有銘柄が軒並みストップ高の10%に到達する日が、約一週間くらい続く、なんてこともありました。

2008年のリーマンショックでは、総資産がピークの約1/3まで落ち込みましたが、頑張って保有し続けたおかげで株価も元に戻り、さらに成長を続けてくれました。

他の成長国へも投資

投資したのは中国株だけではありません。

当時はBRICsブームでしたが、ブラジルだとペトロブラス(PBR)、インドではインフォシス(INFY)やSENSEXインデックス投信なんかも買いました。これらはあまりいい成績が出ないうちに売ってしまいました。

あとは、インドネシアのインドフード(INDF)やベトナムのビナミルク(VNM)やFPTなんかも買いました。

中国株・まさかこんなことになるなんて・・・

今ではいわゆる新興国株で保有しているのは、香港株ではコンチセメント(0914.HK)と、ベトナムのノイバイ貨物(NCT)だけです。

香港株については、2018年ころから順次米国株へシフトをしていきました。

そして、コロナショックの直後に起こった2020年の「国家安全法」施行をきっかけに、すべての香港株を売却しました。最後に売った銘柄は、0177.HK, 0384.HK, 0371.HK, 3918.HKです。

いずれも今はひどいチャートになっています。

あともうひとつ、例に挙げておきたいのが中国の教育系企業のオリエンタル・エデュケーション(EDU)です。

2014年に、当時業績が一時的に低迷したので売ってしまったのですが、その後するすると株価が上昇して、「指をくわえてみている」銘柄でした。

しかし、先日報道されたように中国政府の「すべての民間教育機関を無償化する」という方針を受けて、株価は急落してしまいました。業績も、ちゃんとは見ていませんが、おそらくひどいことになるのでしょう。

EDUのチャートです。矢印の部分が私が売ったポイント。

もし保有し続けていれば、ほんのちょっと前までは株価が急騰してホクホク顔だったのが、約7年かけて成長した株価が一気に吹っ飛んだことになります。

さすがに精神的に耐えられなかったでしょうし、私のFIRE計画にも大きな悪影響を及ぼしたはずです。

成長しなくても潤沢な株主リターンが得られることに気づいた

米国株ブームに乗って、私も2015年頃から米国株へのシフトを進めてきました。

最初の方に買ったのはUNPやプライスラインです。プライスラインは売ってしまいましたが、UNPは現在の私の資産の約15%を占める主要銘柄にまで成長しています。

この頃に気づいたのは、「業績が成長しなくても、安定して利益を上げ続けていれば潤沢な株主リターンは得られる」ということです。

当初は年々売上・利益が成長する企業を買っていた

当初中国株を中心に保有していたころには、中国株二季報を買って、過去数年売上と利益がぐんぐん成長していることを条件に銘柄を選んでいました。

当時の中国市場にはそういう企業はたくさんありましたし。

利益はすべて株主のものであることに気づく

しかし、いろいろな投資関連やファイナンス関連の書籍を読んでいくうちに、別に事業が成長しなくても、安定して利益を上げ続けていれば、それが配当、自社株買いといった形で株主に還元されるということを学びました。

さらには、利益のすべてを配当、自社株買いで株主に還元せず、内部留保する場合には、その内部留保を有効に再投資して、将来の利益増加に結びつけられているかどうかが重要であることも学びました。

このブログの銘柄分析・決算分析でも、そのような視点でチェックを行っています。

米国株中心に

安定して利益を上げている企業は世の中にたくさんありますが、なぜその中で米国株を中心に買っているのか。

それは、多くの米国株ホルダーの方と同じだと思いますが、「株主重視の経営をしていること」と「ガバナンスがしっかりしていること」に尽きると思います。

また、政情が安定していることも重要です。

現在の中国のように、共産党政府の鶴の一声で、優秀なIT企業が骨抜きにされたりするようなことは、米国では起こりえないと思います。

独禁法関連で当局による規制や分割命令を受けるリスクはありますが、それとて正当な裁判を通して実施されるのであって、中国のようにどうやって行われたかわからない意思決定に振り回されることもありません。

米国以外の株はどうか?

政情に不安があるという点では、東南アジアやインドなども不安があるかもしれません。

アフリカが注目されているが

「最後のフロンティア」としてアフリカが投資先として注目されています。特に、ナイジェリア、ケニア、エジプト、南アフリカなど。

まだアフリカ企業に本格的に投資できる環境は整っていませんが、いくつか可能な投資先も現れています。

「アフリカのアマゾン」といわれているJumia Technologies(JMIA)も米国市場で売買できるようです。楽天証券でも扱っているようです。(他の証券会社については未確認)

ただ、業績はまだまだ大幅な赤字が続いているうえに、コロナ禍の影響を受けて売上の成長も止まっています。

今後の見通し

投資にあたってどの程度のリターンを期待するかは、人によってさまざまだと思います。

私の場合は、もうすぐFIREするとして、今後5%のリターンがあれば死ぬまでお金に困ることはなさそうな計算です。

これよりリターンが下回る可能性もありますが、墓場までお金を持っていけるわけではないので、年金をもらいつつ足りない分を取り崩していければ十分です。

アフリカ投資も非常に魅力的ですが、まだまだ安定して利益を上げられると確信できる企業に投資できるようになるまでには時間がかかりそうです。

さらに言えば、盤石な米国企業とて、個別銘柄である以上何が起こるかはわかりません。

できれば今後10年くらいで、インデックス中心にシフトしていきたいと考えています。

米国上場銘柄だと配当にかかる米国税の控除が、収入がなくなった後にはできなくなるので、1655とかの円建てのS&P500インデックス一択なのかなと思っています。

あまり面白くはないですが。

楽しみで始めた「趣味の投資」から、「退職生活を支える金融基盤としての投資」へのシフトも、私自身に求められているということなのでしょう。

投資と人生は自己責任で。

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