消費者向けブランド事業の没落?

先日の日経新聞に気になる記事が載っていました。

社員7人 花王に挑む 新興ブランド、化粧品でヒット 開発特化、大手脅かす

「フローフシ」という社名のファブレスの化粧品メーカーが紹介されています。

たった7人の社員の小さなこの企業が製造販売するアイライナーが、超大手の花王や資生堂を凌ぐシェアを持っているとのことです。

他には、植物素材のシャンプー「ボタニスト」の例も挙げられています。私も、どこの店だったかは忘れましたが、このブランドのシャンプーが陳列棚にずらりと並んでいるのを何度か見かけたことがあります。

従来大企業しか手掛けられなかったブランド化粧品の分野に、小さな新興企業が参入できるようになった理由は以下の通りです。

  • ネットの発展に伴い、実際に製品を製造してくれる委託先を簡単に見つけられるようになった。
  • 従来多額の費用がかかっていた広告宣伝も、SNSをつかって低コストで実現できるようになった。

化粧品分野で起こったこの流れが、逆戻りすることはおそらくないでしょう。

同じような動きは家電分野でもすでに起こっていますよね。バルミューダとか。

今後、自動車業界でも同じようなことが起きるでしょう。自動車業界に依存する割合の大きい日本は、大打撃を受けるかもしれません。

また、 ブランド力で消費者に訴えかけてきた業界には、食品業界や日用品業界があります。

小さな新興企業よりも、アマゾンやそのほか小売大手によるプライベイトブランドがすでに脅威になっています。ジェネラルミルズ(GIS)、クラフトハインツ(KHC)、P&G(PG)などは、このような脅威に晒されていますよね。

いままで「強固な参入障壁」として考えられてきた「消費者に訴えるブランド力」というものが、新規参入者によって簡単にその地位を脅かされるようになってきたのだと思います。

では、永続的企業に投資し続けたい長期投資家は、どんな業界に自分のお金を置いておけばよいのか?

交通・物流インフラ

代替手段や競合の少ない交通・物流インフラサービスは、その独占力を生かして利益を上げ続けるでしょう。

ただし、「代替手段や競合がない、または、少ない」ことが条件です。例えば、高速道路(0177.HK)、北米の鉄道(BNSF、UNP)などです。

石油やガスのパイプラインや供給網を持つ企業(0384.HKなど)もこれに含まれるでしょう。

同じ交通事業でも、代替手段が多く、参入障壁が低い航空会社はダメです。

水関連事業

石油やガスなどのエネルギー資源には代替手段がありますが、水は人間が生きていく上でなくてはならないものです。他に代替できるものはありません。

水の供給を独占するヴェオリア、スエズ、また水の不足が大問題となっている中国では、中国水務(0855.HK)、北腔水務(0371.HK)など。

日本だとオリックス(8591.T)かな?オリックスは株主優待も充実していますね。

公共事業なので、あまり暴利をむさぼると政府から叩かれる恐れがあることには注意が必要です。

許認可による独占

新たな参入が事実上不可能な廃棄物処理を手がけるウェイストマネジメント(WM)。

タバコ業界(PMなど)。

カンボジアの首都プノンペンにおけるカジノの独占企業ナガコープ(3918.HK)。

ベトナム、ハノイのノイバイ空港の貨物輸送で独占力を持つノイバイ貨物(NCT)。

最後に

その他には、ブランドであっても、ニッチな巨人であるマコーミック(MKC)やIFFは、競合にさらされにくいでしょう。

あと、ネットワーク効果を持つCHロビンソン(CHRW)、流通チャネルで参入障壁を築いているファステナル(FAST)とか。

しかし、技術や社会の変化の速度は、ますます速くなっていく一方です。人類文明が滅びるまでその加速が止まることはないでしょう。

現時点では永続的な参入障壁を築いていると考えられる業界、企業であっても、あっという間にその地位を脅かされるようになるかもしれません。

個人投資家としては、その変化についていけなくなった時が、インデックス投資に切り替えるときかな、と考えています。

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