「空売り屋」マディー・ウォーターズがターゲットにしてきた企業

本日4/4の日経朝刊で、中国カフェ大手のラッキン(NASDAQ:LK)について会計不正を指摘するレポートが米国マディー・ウォーターズから発表され、これを受けてLKの株価が急落しているというニュースがありました。

(LKの1年チャート)

私が興味を持ったのはラッキンの方ではなく、マディー・ウォーターズ(MW)の方です。

ラッキンの1000近い店舗前に監視カメラを設置して顧客の出入りを監視したというから筋金入りです。

FACTA onlineという日本語サイトに、MWの代表カーソン・ブロック氏のインタビュー記事がありますが、これによると、MWは物理的な本社は持たず、米国や中国に散らばったメンバーで協力して調査をすすめているのだそうです。

MW社の以下のサイトで、同社がこれまで空売りのターゲットにしてきた企業に関するレポートの一覧を見ることができます。

MWのレポート一覧

その後破綻してしまった企業もありますし、MWの「空振り」に終わった事例もあります。いくつか取り上げてみます。()内の日付けは、MWが最初にレポートを出した日付です。

シノ・フォレスト(2011-6-2)

中国で林業を営んでいたカナダ上場の企業ですが、その後破綻してしまいました。MWはこのシノ・フォレストを取り上げたことで一躍有名になったようです。

Duoyuan Global Water(DGW)(2011-4-4)

中国で浄水装置を製造販売していた企業です。同社もその後破綻。

この企業を取り上げたのには(個人的な)理由があります。

2011年当時は米国株や米国市場に上場するADRがブームになってきた時期でした。私もこのころから米国株やADRを買い始めました。

証券会社の出すレポートで紹介されていてこの企業を知りました。中国の水不足をテーマに投資したいと考えていたので、投資先候補として注目していた企業の一つでした。なお、DGWは当時のティッカーです。

しかし、(結果的には幸いなことに)当時楽天証券等の日本の証券会社ではこのADRを扱っていませんでした。もし扱っていたら、飛びついていたかもしれません。

2010年9月に急落した当時のチャート画像がEvernoteに残っていました。MWのレポートよりも半年ほど前になりますね。

空振りも結構多い

Oriental Education(EDU)(2012-7-18)

中国で英語を中心とした教育ビジネスを手掛ける企業です(ADR)。

2012年に不正会計を指摘され一時的に株価は下げましたが、下のチャートを見るようにその後株価はうなぎのぼりです。(赤い矢印がレポートの公開日)

私もEDUは一時保有していました。不正会計スキャンダルの時にはそのまま保有し続けたのですが、その後業績の株価もしばらく低迷していたので2014年に手放しました。(ですので、その後急騰しているチャートを見るのは、あまり愉快ではないですね・・・。)

日本電産(6594.T)(2016-12-12)

日本を代表する優良企業、日本電産もターゲットにされています。

不正会計とかではなく、永守会長が掲げる目標が楽観的すぎるという指摘でした。

しかし、結局その後株価はするすると上がっています。(赤い矢印がレポートの公開日)

安踏体育用品(2020.HK)(2019-7-7)

安踏体育用品(Anta Sports)は中国でスポーツ用品を製造販売する企業です。売上、利益とも急成長中です。

しかしMWは、”Turds in the Punchbowl”(パンチボールの中の糞)とまで題して同社をこき下ろしています。同社の好調な業績は、ディストリビューターを秘密裏にコントロールしてでっち上げられたものだと指摘しています。

こんなレポートを出すと訴えられる可能性も高いですから、それなりにちゃんと調べたうえでのレポートなのでしょう。

しかし、その後も株価は上げていますね。(直近の下げは新型コロナの影響と考えてよいでしょう。)

ペプチ・ドリーム(4587.T)(2019-11-6)

創薬関連の企業ですが、事業の先行きに疑問を呈されています。19ある事業パートナーシップも、その半分が休止もしくは死んでいる(dead)とのこと。

直近の株価は下げていますが、これもむしろ新型コロナの影響と考えてよいでしょう。

ペプチ・ドリーム社が自社のIRの中で、自社製品の特殊ペプチド医薬を「スポーツカー」に、従来の抗体医薬や低分子医薬をそれぞれ「ダンプカー」や「スクーター」に例えているのをもじって、MWは「ペプチ・ドリームは、ホイールのないスポーツカー」と揶揄していたりして、(部外者としては)ちょっと楽しむことができます。

まとめ

以上見てきたように、MWが出したレポートが空振りに終わることもありますが、最悪破綻に至るケースもあります。

彼らも、自ら空売りを仕掛けてレポートを出しているわけですから、本気で調べて本気で書いていることには間違いないと思います。(踏みあげられて損していそうなケースもありますが。)

長期投資家としては、そもそも同社に取り上げられそうにない、長期間にわたって業績を積み上げているような企業を投資先として選ぶべきでしょう。

なんて書きましたが、私自身もMWに取り上げられてもおかしくないような銘柄を保有しています。0371.HKとか3918.HKとか・・・。どちらも一応増配を続けているうちは大丈夫かな?

投資と人生は自己責任で。

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