本日5月19日の日経新聞に、イオンの岡田社長のインタビュー記事が載っています。
ポイントをまとめると以下の通りです。
- 消費の分野では「反・巨大ブランド」の流れが進んでいる。
- スタートアップの小さなブランドがネットで拡散してあっという間にシェアをとる。
- 米国では10年前にはなかったようなヨーグルトのブランドが人気。(知らなかったので調べてみましたが、Brown Cowというブランドが大人気なのだそうです。)
- ビールも2割以上がクラフトビール。買収で巨大化しているアンハイザー・ブッシュ・インベブも業績では苦戦。
- ネスレやコカ・コーラも苦戦している。
この流れ(脅威)にさらされそうな米国企業は、例えば、クラフトハインツ(KHC)、ケロッグ(K)、ホーメルフーズ(HRL)、キャンベルスープ(CPB)、ジェネラルミルズ(GIS)などでしょうか。
このブログの注目銘柄の一つであるマコーミック(MKC)も、現在のところは大丈夫そうですが、油断はできないと思います。
また、食品に限らず、クロロックス(CLX)やP&G(PG)などの消費ブランドも同じ脅威にさらされる可能性は高いでしょう。
とはいえ、これらの企業は長年にわたり株主に潤沢なリターンをもたらしてきた実績があります。仮に衰退することがあるとしてもその流れは緩やかなものかもしれません。
ブランド力の源泉は何か?
これらのブランド力の源泉が、「商品開発力」にあるのであれば、巨大ブランドがこれからも一定のシェアを持ち続けるかもしれません。
しかし、その源泉が「宣伝力」や「マーケティング」にあるのであれば、ネット化の流れの中で優位性を保ち続けるのは難しいかもしれません。
「フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠」という本があります。ケロッグや旧クラフトやペプシといった米国の巨大食品企業が、人間の味覚本能を刺激する「塩」、「砂糖」、「脂肪」によって消費者を「とりこ」にし、利益をむさぼってきた歴史について書かれています。(ちなみに、この本の原題は”Salt,Sugar, Fat”です。)
この本の主張に従えば、これらの米国の巨大食品企業は、宣伝やマーケティングによって消費者を引き付け、塩・砂糖・脂肪にまみれたジャンクフードによって消費者を飼いならしていった、ということになります。
ならば、上にあげたようなスタートアップのヨーグルト企業のような事例は、このような従来の巨大食品企業に対する、ネット時代の消費者の逆襲といってもいいのかもしれません。
ネットが普及していない昔なら、小さな企業が「消費者の健康を思って」割高な商品を作っても、宣伝力が弱かったり、大手メーカーに小売りチャネルを押さえられたりして、世の中に商品を出すことが難しかったでしょう。
しかし、ネットの普及によってそうした「心あるスタートアップ」が、巨大企業に伍していけるようになったということですね。
余談 ― おいしい生ビール
ビールがおいしい季節になってきましたね。
しかし、知らないお店に初めて行ったときには、生ビールではなく瓶ビールを頼むことがほとんどです。
個人経営の食堂などに行くと、よく瓶ビールの銘柄を何にするか聞かれますが(たいてい、キリンかアサヒ)、正直なところどちらでも気になりませんし、選ぶのが面倒なくらいです。目隠しテストされて味で銘柄を当てろといわれても自信ないですし・・・。
ブランドに関わらず、生ビールで本当においしいと思えるのは、「毎日ビールサーバをちゃんと洗っているお店」なのだそうです。
先日飲食店の方に教えてもらいました。
生ビールを飲んで、「なんかあまりおいしくないな」と思ったら、サーバをちゃんと洗っていないか、あるいは、ひとつの樽で長期間提供している場合なのだそうです。
逆においしい生ビールを出してくれるお店は、毎日ちゃんとサーバを洗って、かつ、古くなった樽のビールは思い切って処分しているようなお店なのだそうです。
ただ、そういうお店は少ないので、初めていったお店では瓶ビールを頼むことが多くなりました。