長期投資における原理原則

私が株式投資をはじめてすでに15年が経過しました。

この間に得られたものは、まずは株式投資の結果形成できた資産です。私の場合、仮に株式投資をせず毎年の余剰(給与から支出を引いた残り)を貯金していた場合に比べて、約2倍の資産を作ることができました。このおかげで、定年を待たずに退職できる見込みを立てることができています。

そしてもう一つ得られた大事なもの。それは、株式投資、特に長期投資における自分の原理原則といったものです。

もちろん、独りよがりな考えに凝り固まるのは良いことではありません。常に柔軟に他人からの学びを続ける必要があります。しかし、投資に関する情報があふれかえる今日、ある程度「ぶれない」考え方を持っておくことは非常に大事です。

15年にわたる投資活動で私が得た、長期投資の原理原則は以下のようなものです。

  1. 独占力を持つ企業に投資する
  2. ROEと内部留保の再投資の効果に着目する
  3. 将来の株価の動きは、予想できないという前提で投資する
  4. ルックスルー利益(利益持ち分)に着目する(損切はしない)

それぞれ詳しく説明します。

1. 独占力を持つ企業に投資する

どんなに優れた事業を行っていても、その事業を他社が簡単にまねすることができれば、あっというまに競争が激化し、利益を得ることは難しくなってしまいます。

こういう模倣と競争は、特に「成長産業」と呼ばれる分野でよく起こります。

かつての薄型テレビや、iPhoneが出てくる前の携帯電話とか。最近だと、再生エネルギー関係とか、電気自動車とかでしょうか。植物性肉なんかも、市場全体としては伸びていくと思いますが、競争も激しくなりそうです。

(私はこれを、「子供のサッカー」と呼んでいます。各自のポジションを無視して、キーパー以外の20人が全員ボールに群がってる様子のことです。)

他社を寄せ付けない独占力を、経済的な広い堀(ワイドモート)と呼んだりします。

このワイドモートについては、「千年投資の公理」という本にわかりやすくまとめられています。

本書によると、一番強力なモートは、マイクロソフト製品にみられるようなネットワーク効果です。その製品やサービスを使う人が増えれば増えるほど、その利便性や価値が向上するのがネットワーク効果です。

それ以外の堀としては、ブランド、特許、許認可といった無形資産、乗り換えコスト、コスト優位性などがあげられています。ただし、このうちブランドについては、消費者のさらなる支払いを促したり、顧客を囲い込めるようなものでないと意味がありません。単に「よく知られている」だけではだめです。

いずれにせよ、こういったワイドモート、独占力を持った企業に投資することが、長期投資の絶対条件です。

どのくらい強力な独占力を持っているかは、数値化するのは難しいですし、仮に投資情報会社が数値化していても(している例があるようですが)、それをみて妄信できるようなものでもないと思います。

投資やビジネス(特に競争環境)に関する書籍を読んだり、ニュースを見たりして、最終的に自分自身で判断していくしかないと思います。一朝一夕で身につくものではなく、積み重ねが大事な部分だと思います。

2. ROEと内部留保の再投資の効果に着目する

毎年、あるいは四半期ごとの決算の数字を見ることは非常に大事です。

私が特に重視しているのが、「ROE」と「内部留保の再投資の効果」です。

ROEについては説明不要と思います。高いROEは、長期的に株主の高いリターンにつながります。

新たな銘柄に投資する場合には、だいたいROE 20くらい以上あることを目安にしています。その後毎年の決算の推移の中で20を切ることもありますが、それでも15くらいは欲しいところです。

「内部留保の再投資の効果」については説明が必要と思います。

まず、企業があげる税引き後の最終利益は、「すべて株主のもの」です。

この株主に属するはずの最終利益の使い道は、大きく3つ。配当、自社株買い、そして内部留保です。

配当と自社株買いは直接的な株主への還元ですが、内部留保は違います。企業は、財務の安定や将来の再投資のために内部留保を行います。

株主の立場から言えば、「内部留保するのなら、ちゃんと再投資して、将来の利益拡大につなげてくれるんだよね」ということになります。この株主の期待に、企業がどれだけこたえられているかを見るわけです。

私の場合は、5年なり10年なり、一定の期間をとって、その期間内の「最終利益の増加額」と「内部留保の累計」を計算して、前者を後者で割ります。この値が、ROEと同じく、だいたい20%以上あることを投資の条件にしています。

本当は、金銭の時間価値も加味して計算する必要があると思いますが、企業間の「横の比較」に用いているだけなので、時間価値は無視しています。

例外もある

ROEや内部留保の再投資効果が使えない場合もあります。

それは、利益のほとんどを株主還元していたり、またその結果として(健全な)債務超過になっているような企業です。

私の持ち株だと、MCD、KO、MO、PM、NCT(ベトナム)などがこれにあたります。(MCDとPMは、債務超過)

このような企業は、成長しないか、あるいは追加資金を必要とせず成長している(すばらしい!)ので、配当と自社株買いを合わせた株主還元率を見ることにしています。

3. 将来の株価の動きは、予想できないという前提で投資する

チャートの読み方とか、相場の動きについての勉強もある程度やってきました。「ヘッド・アンド・ショルダーズ」みたいな用語の意味も一応は理解しています。

また、過去にはFXや先物取引に手を出して痛い目に遭ったこともあります。

こういう経験を踏まえた私の結論は、(少なくとも私にとっては)将来の値動きを予想することは無理、というものです。

先のコロナショックにしろ、10年以上前のリーマンショックにしろ、「事前に売って、底で買い戻していれば」なんて妄想することは、正直よくあります。

しかし、この先いつまた暴落が来るか、確信をもって予想することはできません。

ネット上にはいろいろな予想をする人がいますが、それらの意見にも、(参考にしつつも)原則耳を貸さないことにしています。

現在私のキャッシュ比率はだいたい2割です。これは、4月から5月に香港株を売ったことによるものです。その後、毎月2%づつくらいで買い増ししていこうと考えています。相場が読めないのなら、時間分散するしかありませんから。

もちろん、ラッキーなことにその間に暴落がくれば、当然果敢に買い進むつもりですけれど。

4. ルックスルー利益(利益持ち分)に着目する(損切はしない)

株式投資をしていれば、どうしても「総資産額」に目が行きがちです。私も、グーグルシートを使って計算した総資産額を日々眺めて一喜一憂しています。特に、最高値のレコードが出た時には、気持ちがいいものです。

しかし、その資産額は、日々の相場に左右されます。自分以外の、ほかの投資家の意向によって変わってくる数字です。

自分が保有しているのは、「株式」という相場商品ではなく、「企業の一部」であることを忘れてはいけません。

それを意識するためには、「ルックスルー利益」、つまり、一株利益(EPS)に自分の持ち株数をかけたものを見る必要があります。

このルックスルー利益は、投資先があげた利益のうちの、あなたの取り分です。この取り分の中から、配当や自社株買いという形で直接還元もなされるし、あるいは将来の利益拡大のための内部留保・再投資が行われるわけです。

このルックスルー利益は、当然日々の相場には左右されません。

自分が、その投資先企業から、総額でどれだけの利益を得ているかを意識しましょう。

そして、投資先企業が安定して利益を上げている限りは、仮に株価が大きく下げた場合でも、売る必要はありません。

利益を下げた場合でも、それが一時的な要因(例えば、スキャンダルとか事故とか)で、その後の復帰が十分見込めるのなら、同様です。こういう時は株価も下げるでしょうから、キャッシュを持っていれば買い増しのチャンスです。

よく、「買値から●パーセント株価が下がったら、感情を捨てて機械的に損切りしよう」という意見も聞きます。あなたが、「安く買って、高く売る」投機をしているのなら、それは正しい意見だと思います。

しかし、企業の一部を所有する「投資」をしているのなら、そもそも「損切り」という行為は不要なはずです。

投資と人生は自己責任で。

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