先日、これまで賃貸派だった自分が、持ち家を買うことを考え始めたという記事を書きました。(「賃貸派」から「持ち家派」への転換?)
この記事の中で、「自分自身を賃貸の顧客として考えれば、持ち家の方が絶対お得」という記事を「SNSで見かけた」、と書いたのですが、実際には日経ビジネスに書かれた記事でした。(失礼いたしました。)
宗健さんという大東建託賃貸未来研究所というところの所長をされている方の記事です。
「持ち家は、自分を顧客とした最も確実性の高い賃貸事業」とされたうえで、その理由として家賃には、家主の利益、家賃滞納、空室、原状回復、入居者募集などに関するコストが含まれていることと、持ち家ローンより金利の高い賃貸向けローンの利息が含まれていることをあげられています。
金銭的に考えれば、持ち家の方が有利なことには結論が出ていて、その証拠に持ち家率も年齢とともに高くなり、50歳代では約67%、60歳以上では約80%にも上っているとのこと。
しかし、この議論は住宅に対する「支出」に関してのものであり、資産のほとんどを株式で運用している私のような投資家にとっては、別の視点からの議論も必要です。
住宅ローンを組まなければ、投資による利益を機会損失する
私の場合資産のほとんどを株式で運用している、いわゆる「フルポジ」の状態です。
株式の場合、平均して年5~7%の利益を得られるといわれています。私の場合も、もちろん年によって異なりますが、平均してそのくらい増えていると思っています。
もし、数千万円の住宅を購入するために、株式を売って購入費用に充てれば、その時点では「等価交換」だとしても、住宅の価値は一般的には徐々に毀損していきます。
よほど立地やもろもろの条件が良い物件であれば、購入後価値が上がっていく場合もあるのでしょう。
しかし、日本の戸建ては大体30年で上物の価値はゼロになるといわれますし、マンションも耐用年数は60年くらいといわれています。
結局のところ、30年後、40年後に「資産」として残せるものでない可能性が非常に高いです。
ですから、持ち家を即金で買ってしまうということは、将来の「費用」を先払いすることであり、そのことによって本来株式投資で得られるはずであった利益を損失することになるということです。
その機会損失を避けるためには、住宅ローンを組むということになります。
50歳代なかばからでも住宅ローンは組める?
あくまでネットで調べた情報ですが、80歳までに返済できる計画が立てられれば、50歳を過ぎていてもローンは組めるようです。
住信SBIネット銀行のページで返済シミュレーションをやってもらえるので、試しに計算してみます。
まずは条件を入れてみます:
5000万円の家を全ローンで組む想定です。
2.62%という利率は、20年固定金利の「通期引下げプラン」のものです。結構高いですね・・・。
この「通期引下げプラン」のほかに、「当初引下げプラン」というのもあって、こちらは利率がもっと安いですが、これはその名の通りローンの当初だけ利率が安いものなのだそうです。
利率が一定の方が分かりやすいので「通期引下げプラン」にします。
また、「元利均等」の方が毎月の支払額が一定なので、こちらを選びます。
シミュレーションの結果は以下の通り:
毎月27万円近い支出は、家賃として考えると相当高いですね。マンションなら毎月の管理費もかかるので、もう少し毎月の支払いは高くなるでしょう。
賃貸なら、家のグレードとしては、もっといいところに住めそうです。
この支払が20年で終わることを考えれば、お得なのかな?
しかし、ローン返済後に残るのは、築10年の時に中古を買ったとすれば、「築30年」の物件ということになります。戸建てなら土地の価値だけになり、マンションなら当初より売却可能価格も相当落ちているでしょう。
ちなみに、先の利率を「変動金利 通期引下げプラン」の0.44%に変更すると、シミュレーションの結果は以下のようになります。
まあ、この先20年、今のような低金利が続く保証はありませんから、これはあくまで参考までですね。
生命保険は解約しない方がいい?
住宅ローンを組むには、団体信用保険に加入することが求められます。
この団体信用保険ですが、健康状態によっては加入できないこともあるようです。
私は、幸いなことにガンなどの重大な疾患にかかった経験はありませんが、生活習慣関連の持病があるので、もしかしたら審査を通らない可能性があります。
フラット35であれば、民間の生命保険での代用も効くようです。
私は生命保険に加入していますが、実は近日中にこれを解約しようと考えていました。この契約では、あと1年後くらいに保険料がぐっと上がることになっています。また、幸い投資で資産形成できているので私に万が一のことがあっても周囲に迷惑をかけることはなさそうだからです。
しかし、家を買うのかどうかを決断しつつ、何が必要かももっと調べるまでは、もう少し継続して加入しておいた方がよい気もしてきました。
(余談ですが、この生命保険会社のウェブサイトで「解約」をキーワードにそのやり方を調べていたのですが、その週末に保険会社から自宅に電話があり、会ったこともない私の「担当者」という方から、「ぜひ一度お会いしてお話がしたい」と申し入れがありました。「忙しいので、電話で要件を言って」とお願いしたのですが、「ぜひ一度お買いしたい」の一点張り。どうやら先の検索操作をきっかけに、上司の人から会ってくるよう指示されたのだと思いますが、ちょっと気持ち悪かったですね・・・。)
住宅売買についてもっと勉強が必要
仮に家を買うとしたら、一生1回きりの大きな決断になりそうです。
不動産投資をされている方のブログなどを見ていると、「買うに値する」物件というのは、100件に1つくらいしかないようです。
これは、自分で住む場合でも状況は同じなのかもしれません。
しかも、そういう「当たり」の物件は早急に買い手がつくことが考えられますから、素早い判断も必要です。
一生を左右するような重大な決断を、速やかに行わなければならない。
いや、不動産の世界って、株式投資に比べると格段に難易度が高そうです。
さらに、早期退職したいのならサラリーマンでいる間に決断をしなければならないですし、時間がたつほど自分にとってはすでに不要な生命保険の費用もかさんできます。
結局一生賃貸で過ごした方が楽なのかな。大きな決断しなくて済むし・・・。
趣向を変えて、投資用の中古ワンルームを買っておくとか。いや、これもカモられるパターンかな・・・。
投資と人生は自己責任で。
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