株式取引を巡って、「これは投機なのか、投資なのか」という議論や、「投機と投資のどちらがいいのか」という議論を目にすることがありますよね。
今回、この「投機」と「投資」を題材にして、私自身の投資方針を再確認したいと思います。
「投機」と「投資」の定義
あくまで私自身にとっての定義ですが、以下のように考えています。
- 投機(speculation)― 市場で値が付くものを、安値で買って高値で売ろうとする行為。
- 投資(investment)― 利益を生み出す事業に出資して、その利益を得ようとする行為。
専門家の方から見れば「それは違う」というご指摘を受けるかもしれません。
しかし、あくまで自分自身の投資方針をはっきりさせるための定義なので、これでよいと考えています。
100%投機といえるもの
そのもの自体が利益を生まないものに資金を投じて値上がりを狙うのは、100%投機といってよいと思います。例えば、
- 金(ゴールド)などの貴金属
- ビットコインなどの暗号資産
などです。
FXも100%投機といえそうですが、例えば今のように日米で金利差が大きい場合には、毎日のスワップ狙いでポジションをとることもあるので、外しておきます。
私自身も、遊びで少しビットコインを持っていたり、以前はゴールド(証券)を買ったりしましたが、本気で大量の買いをすることはありません。
投機はしょせん「ゼロサム」または「マイナスサム」ですから、勝者の裏には敗者がいます。
私自身はどちらかというとトロ臭い方なので、本気でトレードをしても敗者の側に回る可能性が高いと思っています。
100%投資といえるもの
逆に100%投資と言えるものは何でしょうか。
例えば、自分で資金を出してラーメン屋を始めるのは、100%投資といえるかもしれません。なぜなら、そのラーメン屋自体を市場で売ることはできないので、そもそも高値で売り抜けることはできないからです。
ラーメン屋に限らず、自分で事業そのもの全体を買う行為は100%投資といえるかもしれません。
不動産投資もこれに当てはまりそうです。(もっとも、アパート経営は手間がかかるので、投資というよりは「事業」に近いともいわれています。)
市場で流通していない事業は、いざうまくいかなくなったり、売りたくなった場合に即現金化できる「流動性」がありません。
事業の目利きや経営について、私自身の能力に全面的な信頼がおけないので、「流動性」は私には欠かせない要素と考えています。
どちらかというと投機に近いもの
流動性を確保して事業を所有する手段が、株式取引です。
株式取引にも、どちらかというと「投機」に近いものと「投資」に近いものがあると思います。
分単位での値上がり(もしくは値下がり)を狙うデイトレードは、間違いなく投機といえます。
デイトレードではなくても、市場の値動きによって売買を判断するものは、どちらかというと投機に近いと思います。
例えば、自分が買った株が「買値から10%下がったら、失敗と判断して売る」ような取引は、私は投機と思っています。
また、これは異論があるかもしれませんが、まだ利益が出ていないスタートアップや、利益が出ていてもPERが3桁あるようなハイテク株を買うのも、投機に近いと思っています。
これについては、「将来の利益を期待して保有しているのだから『投機』ではなく『投資』では?」という考えもあると思います。
ただ、こういう株の場合、どうしても市場の値動きに心理的に左右されることが多いですし、その時に「利益」を根拠に保有し続けるのが難しいと思います。
具体的な例を挙げるとテスラ(TSLA)がこれにあたると思います。
これを書いている日の前日4月26日には大きく値を下げましたが、それでもPER(TTM)は180近いです。
なぜわざわざTSLAを上げたかというと、別にディスりたいわけではなく、私自身がこの銘柄を買いたいと思っているからです。
自分の方針には合わないものの、ギガテキサス竣工のニュースなどを見ていると、将来もっと化けるのではないかというスケベ心が出てしまうのです。
もしかしたら買ってしまうかもしれませんが、その時には「投機」の要素が強いことを意識しておきたいと思います。
どちらかというと投資に近いもの
投資に近い株式取引とは、長期的に安定して利益を出した実績があり、かつ、強力なワイドモート(参入障壁)を持ち、今後も安定して利益を出し続けることが期待できる企業、つまり「永続的企業」の株式を持ち続けることだと思います。
いわゆるバフェット流の投資方法ですね。
例えば、60年以上増配を続けているP&Gへの長期投資がこれにあたると思います。
私自身も、基本的にはこのタイプの投資を続けていきたいと考えています。
現在米国中心に20個弱の個別銘柄を保有していますが、いずれも何らかの形の「ワイドモート」を持っていると判断しています。
インデックスは「投機」か「投資」か
最後に触れておきたいのが、インデックスを買うことが投機なのか投資なのかということです。
S&P500インデックスを構成する各銘柄のほとんどはすでに利益を上げている企業ですし、構成割合の大半を占めるGAFAMが潤沢な利益を上げていることも事実です。
また、S&P500全体のPERを知ることもできますので、逆算すれば、1655.TやVOOなどのEPSも知ることができます。
こういう意味では、インデックスを買うことも投資といえると思います。
しかし、株価が暴落した時にはどうでしょうか。
P&Gなどの個別株であれば、市場の値動きには目をつむって、その企業が四半期ごとにあげている利益だけに注目すれば、(ちゃんと利益を上げている限り)自信をもって保有し続けることができます。
インデックスの場合には、先ほども書いたようにEPSを知ることができても、それを根拠に値下がりし続ける株式を持ち続けるのは、心理的につらいかもしれません。
値下がりしたからと言って損切りや利確をするのであれば、それは「投機」といえるでしょう。
まとめ
私の投資方針についてまとめ(再確認)をしておきたいと思います。
強力なワイドモートを持ち今後も安定して利益を上げ続けることが期待できる企業の株式(個別株)を、その前提が崩れない限り持ち続けるというのが基本方針です。
(ちょっとスケベ心を出してTSLAを買ってしまうかもしれませんけど・・・。)
個別株にもリスクがあります。
一つは、その企業が予想しがたい要因で突然ずっこけるリスクがあることです。
身近な例でいえば、3.11での東京電力がこれに当たります。当時東電株を持っていた人は、ずっと安定して配当を受け取れる銘柄と思って保有していたはずです。
もう一つのリスクの理由は、自分の高齢化に伴い、個別株投資の判断ができなくなる可能性があることです。
こればかりは、いつどの程度進むのかは、わかりません。
できることとしては、現在資産の6割近くを占める個別株の割合を徐々に減らして、インデックスの割合を増やしていくことくらいです。
15年後、70歳くらいになった時に、個別株が2,3割、残りはインデックスと生活用の最低限の現金、そして年金収入があればいいのかなと思っています。
まあ、その時になれば、考えは変わってくるかもしれません。
投資と人生は自己責任で。
よかったら押してください。
にほんブログ村