本棚にあった「人口ピラミッドがひっくり返るとき ― 高齢化社会の経済新ルール」(ポール・ウォーレス)という本を、パラパラを見返してみました。
この本が出版されたのは世紀末の1999年、いまから約20年前です。
冒頭の方しか読み返していませんが、高齢化による人口ピラミッドの変化は西欧や日本のような先進国だけの問題ではなく、やがて世界全体の問題となるという趣旨のことが書かれています。
その後実際にどうなったかを調べてみました。
populationpyramid.net というサイトがあって、世界各国の人口ピラミッドを、年を指定してグラフ表示させることができます。(当然未来の年は予想)
言語も選べて「日本語」もサポートされています。
人口トップ10の国々の人口ピラミッドを張り付けてみます。
トップ10のうち、きれいな「ピラミッド型(富士山型)」をしているのはナイジェリア1国だけです。
パキスタンは分類すればピラミッド型になるのでしょうが、若年人口が減ってきていることが分かります。
それ以外の8国は、いずれも「釣り鐘型」(労働人口層と若年人口層が同じくらいの幅)か、「つぼ型」(若年人口の幅が労働人口層よりも狭い)になっており、すでに少子・高齢化が進んでいることが分かります。
最後の世界全体(world)の人口ピラミッドも「釣り鐘型」をしています。
(そもそもすでに「人口ピラミッド」という呼び方がふさわしくなくなっていますね。)
トップ10には入っていませんが、東南アジアの新興国であるベトナムやタイも釣り鐘型というよりも、むしろさらに高齢化が進んだつぼ型をしています。
(画像はpopulationpyramid.netより)
先にも書いたようにこのサイトでは、未来の年を指定することもできます。
現在ではきれいなピラミッド型をしているナイジェリアも2100年には「釣り鐘型」になっています。どういう予想をしているのかはわかりませんが、医療や技術の発達で、人々が長生きするようになり、経済的にも豊かになれば、いずれそうなることは間違いないでしょう。
高齢化が進むから高齢者向けのビジネス「への投資」が成功する、とは限らなさそうなことは、今日ご紹介した福寿園の記事にも書きました。
しかし、高齢化は年金、就職、不動産、文化、投資といった様々な面で大きな影響を及ぼします。
金融については、「ベビーブーマーが退職し収入を得るために貯蓄を取り崩すことによって、史上最も長く最も底深い弱気市場」が見込まれると書かれています。(堺屋太一の「団塊の後 三度目の日本」にも同じようなことが書かれていました。)
アメリカのベビーブーマーとは、1946年生まれ(2018年現在で72歳)から1964年生まれ(同54歳)ですから、その「史上最も長く最も底深い弱気市場」はこれから迎えることになるのかもしれません。
就職については、「(労働)市場で力を持つのは、数の多い高齢者ではなく、数が少なく貴重な若者である」と書かれています。若者の労働力が減るから高齢者でも安心して職を得られる、というわけでもないようです。
高齢者には、フリーランスとして働くか、起業するか、安い賃金に甘んじるか、あるいは(本書には書かれていませんが)投資から不労所得を得るしか道は残されていないのでしょう。
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