一般常識としてファイナンシャルプランニング(FP)を勉強する

先日の記事で、「サラリーマンの退職後の心配は、お金よりも孤独(人間関係)」と書いたばかりですが、それでもお金のことは心配ですよね。

定年退職を待たず早期退職をもくろんでいる場合には、なおさらです。

でも、お金のことって、周囲の人にはなかなか相談しにくいですよね。

自分なりに、もらえる退職金や年金の額、そして、支払わなければならない税金、保険料、国民年金、生活費を想定して資金のシミュレーションをしています。しかし、しょせん素人がやることですし、一生一度のやり直しがきかないことです。

「もしかしたら、すごく大事なポイントを考えるのが抜けていて、退職後に困った事態にならないか?」と心配になります。

ファイナンシャルプランナーに相談してみる?

そんなお金の相談をプロとして引き受けてくれるのが、ファイナンシャルプランナー(FP)と呼ばれる方たちです。

いったい、どのくらいの料金で、どんな相談に応じてくれるのでしょうか。

日本FP協会のホームページ(https://www.jafp.or.jp/)から、自分が住んでいる地区のFPの方を検索することができます。

https://www.jafp.or.jp/confer/search/cfp/

FPの資格にもいろいろレベルがあるようですが、皆さん最高位のCFPという資格をお持ちのようです。

地区にもよるのでしょうが、料金は「1時間5,000円」の方から「1時間20,000円」くらいのようです。

いったいどのくらいの時間をかければ、満足できる答えが得られるのでしょうか。

自分なりに資産額や日々の生活費はちゃんと計算していますが、まずはそれをちゃんと伝える必要があります。その上で、将来のシミュレーションについて相談するのだと思います。

1時間じゃ、足らなさそうです。逆に、半日4時間もみっちり相談すると、こちらの頭がパンクしそうです。

依頼を受けるFPの方にとってみれば、1回きりの相談をしに来る依頼者に、それほど親身になってアドバイスする動機も薄いかもしれません。

「定期的にいっしょに家計を見直していきましょう」なんて、長期の契約に誘導されてしまうかもしれません。(そんなにお金を払うくらいなら、株の一つでも買っておきたい。)

自分で勉強してみよう

そもそもFPってどんな資格なのか?

先ほどの日本FP協会のホームページで見てみます。

資格としては、AFP資格とCFP資格(上級資格)というものがあり、それ以外に3級から1級のFP技能検定というものがあるようです。

一番簡単なのは3級FP技能検定ですが、どうやら高校生や大学生でも合格できるレベルのようです。

ならば自分でもある程度は勉強できるのでは?

ということで、さっそく本屋さんの資格コーナーでいくつか本を見てみます。

「資格の大原」のテキストが、一番読みやすそうだったので、さっそく買って読んでみました。

資格の大原公式 FP3級合格テキスト

読むペースにもよると思いますが、全体をざっと理解するだけなら、まる1日あれば十分だと思います。

FPとして勉強すること

FPとして勉強すべきことを並べてみます。

人生の資金計画 ― 人生の3大支出である、「教育」、「住宅」、「老後」の資金計画を立てます。教育と住宅については、どのくらいかかるか見積もるのは簡単そうです。見積もるのがむずかしいのは、やはり老後の資金でしょう。ライフスタイルや健康状態によって支出が大きく変わりますから。いずれも、年単位でのキャッシュフローを計算して見積もります。

健康保険 ― サラリーマンが加入する健康保険と、自営業や無職の人が加入する国民健康保険。サラリーマンが退職すると、健康保険から国民健康保険に切り替わりますが、経過措置として社会保険の任意継続を受けることができます。あと後期高齢者医療制度、介護保険、労災保険、雇用保険など。既に知っていることがほとんどでした。

年金の話 ― 国民年金、厚生年金などについて。これらも、興味がありすでにいろいろ調べていたので、ほとんど既知の話でした。

リスク管理 ― 生命保険、損害保険、その他の保険(医療保険など)について。

金融資産運用 ― 普段投資をやっている人なら、この辺は一番得意なところでしょう。私も、すでに知っていることがほとんどでした。

税制 ― 所得税の10種類の分類。総合課税と申告分離課税の別。損益を通算できる所得とできない所得。そして様々な控除。毎年の確定申告では、国税庁のホームページにそって何となく必要事項を入力して申告書を作成していましたが、その背景となるルールを網羅的に理解することができました。

不動産に関わる法令や税制 ― 不動産登記関連、宅建業法、借地借家法、建築基準法、都市計画法、不動産の「5つの価格」、不動産に関わる税制など。覚えることが山盛りです。

相続に関わる法令や税制 ― 家族のうちだれがどの程度の割合相続する権利があるかに関するルールや、遺言書に関わるルール、そして相続税。相続税には様々な種類の控除があり、すべて覚えるのは大変そうです。

新しく学んだこと(今まで知らなかったこと)

NISA ― NISAの場合は、上場株式の譲渡で生じた損失金額を他の上場株式譲渡の利益と「相殺することができません」。非課税優遇のために、もっと大きな額の節税に不自由をきたすかもしれません。

医療費控除 ― 「年間10万円超」の場合に適用されることは知っていましたが、標準税額が200万円未満であれば、「10万円」ではなく「課税標準の5%」を超えた場合に控除が行われます。つまり、退職して収入がほとんどなくなれば、わずかな医療費でも控除をうけることができるみたいです。もっとも、収入が少なければそもそも課税額も少ないのですが。

相続の限定承認 ― 相続するのは資産(積極財産)だけではなく借金(消極財産)も含まれます。相続を放棄することもできまずが、相続できることを知ってから3ヵ月以内に裁判所へ届け出る必要があります。万が一3ヵ月経ってから親(被相続人)に膨大な借金があることが判明すると大変です。こんな事態に備えて「限定承認」という制度があるようです。放棄ではなく限定承認することによって、積極財産の範囲内でのみ消極財産を相続することを宣言できるようです。

亡くなった人の確定申告 ― 亡くなった人の確定申告は、通常の確定申告の時期とは異なり、相続人が相続の事実を知ってから4ヵ月以内に行う必要があります。

習得が難しそうなこと

私にとっては、経験があまりない不動産関連、相続関連などが難しそうです。

不動産に関わる法令や税制 ― 私自身が持ち家を買ったことがなく、実体験として不動産取引に関わったことがありません。仮に持ち家を買った経験があったとしても、収益用不動産や土地の売買の話になると、ルールを丸暗記するのがせいぜいだと思います。机上で学んだ知識だけで他人に自信を持ってアドバイスするのは難しいと思いますし、万が一誤ったアドバイスをしてしまうと金額が金額なだけに大変です。

相続に関する法令や税制 ― こちらも不動産に負けず劣らず、複雑です。実際に相続を経験することも、人生の中でそう何度もないことです。自分が相続する立場になったときには、相続する金額や財産の質(土地、家屋など)にもよるでしょうが、プロのアドバイスなしにすべて処理するのは難しそうです。

青色申告関連 ― 今回読んだ3級のテキストではあまりページが割かれていないので、重点は置かれていないのだと想像します。この辺りはFPよりも税理士の仕事なのでしょう。

さいごに

3級の試験は年三回です。

「学科」と「実技」の試験があります。「実技」といっても「学科」とおなじくマークシートの3択式です。どちらも6割正解で合格。おそらく一週間も詰め込みをやれば、合格できそうです。

でも、この資格を取ったからといってすぐに収入につなげるのは難しいでしょう。

「稼ぐための知識」といよりは、「大人として最低限の常識として知っておくべきこと」だと思います。(本来なら、高校あたりで全員学んでおいても悪くない内容だと思います。)

あと、この手の法令は常に変わっていきますので、継続した勉強も欠かせないと思います。

みなさんも、まだ半分以上残っている10連休中にFPの勉強をして、お金に関する不安を解消してみてはいかがでしょうか。

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