今日の書籍は、バフェット本です。著者はウォーレン・バフェットの義理の娘で、「史上最強の投資家バフェットの教訓」や「バフェットの銘柄選択術」などの本が有名です。
この本では、財務諸表(P/L、B/S、C/F)から永続的企業をどのように見抜くかを、具体的に示しています。一応全部で58項目のルールとして書かれています。(中には、この本を読むであろう人にとっては「当たり前」と思われる内容もありますが。)
なお、この本に書かれているのは、あくまで「メアリー・バフェット」と共著者の「デビッド・クラーク」という人の意見であって、ウォーレンバフェット本人のそれではないことに注意が必要です。
例によって、このブログで参考にすべき点をまとめました。[番号]は、本文中のルールの番号です。
- [3] 永続的企業を見つけたならば、「バーゲンセール」を待つ必要はない。適正価格で買えさえすればよい。
- [4] 優れた企業とは、「消費者の心の一部を所有している」企業、つまり他にはないユニークな製品のを売っている企業(KO, PEP, HSY, PGなど)、他にはないユニークなサービスを売っている企業、そして、一般大衆からの安定した需要がある製品もしくはサービスを低コストで仕入れて低価格で売る企業(COSTなど)のこと。
- [11] 高い粗利益率を持っていること。(40%以上)
- [13] SGA費/粗利益の比が「一貫して」低いこと。(30%以下)ただし、R&D、設備投資、利払いの比が高ければダメ。
- [14] 製薬会社は特許や先進技術といった「償却される」一時的優位性にたよっている。
- [15] EBITDAはあてにしない。
- [16] 支払利息/営業利益の比が低いこと。(1桁)
- [27] 売掛金/売上の比が同業他社に比べて低いということは、永続的企業である可能性を示している。(顧客に対して自社に有利な支払い条件を示す力がある。)
- [29] 流動比率はあてにしない。なぜなら優良企業は手持ちキャッシュを配当や自社株買いに割り当て流動比率を下げても、すぐに新しいキャッシュを稼ぐことができるから。
- [30] B/S上の生産設備の額が大きいということは、現状維持のために多額の投資をしなければならないということ。
- [31] 米国会計基準では、のれんを持つ企業の価値が低下していなければ、のれん代を償却しなくてもよい。
- [32] B/S上の無形資産として現れない、「自社内で構築された無形資産」を持つ企業は、財務諸表だけからは見抜くことができない。(KO、リグリー、PEP, MCD, WMT)
- [35] RoAが極端に高い企業は競争優位性が脆弱である可能性がある。なぜならば、「より少ない資産で同じ事業を始めることができる」可能性が高いから。
- [41] 優良企業は長期負債が少ない。長期負債の額が、せいぜい数年分の純利益で返せる程度である。
- [43] 単純に負債比率(負債/資本)は参考にできない。なぜなら、自社株買いでため込んだ「金庫株」を無視しているから。金庫株を資本に加えて計算した、「自己株式調整済み負債比率」を参考にすること。(0.80以下)
- [54-57] 安定して成長している企業の将来の利益の成長率を見積もることができれば、(DCF法を使って)現在価値を計算することができる。
- [58] 3つの売り時: 1) もっと優良な企業をもっと有利な価格で買うチャンスが訪れた時、2) 企業が「永続的」でなくなった時(インターネット普及に伴う新聞社やテレビ局)、3) PERが40を超えた時。
繰り返しますが、これらはあくまで著者の意見であって、ウォーレンバフェット本人のそれではないことに注意が必要です。