携帯会社のソフトバンク(9434.T)に食指が動く

独占力を生かして安定して高い利益を上げ続けている優良企業が、何かの要因でその株価を大きく下げている。こういう状況は、長期投資家にとって絶好の買いタイミングです。

そういう状況が今現在発生しているのが、国内携帯電話大手3社です。携帯料金引き下げの意向の強い菅政権発足を受けて、株価も大きく下げています。

買うならソフトバンク一択

大手3社のうち、買うならソフトバンク(9434.T)一択と考えています。その理由は、ROEを見れば一目瞭然です。

ドコモ(9437.T)KDDI(9433.T)ソフトバンク(9434.T)
ROA7.35 %7.09 %6.19 %
ROE11.22 %15.10%32.10 %
(数字は Yahoo! financeより)

ドコモとKDDIのROEは、長期投資の対象としては低すぎです。「安く買って高く売る」トレードをするのであれば、買いの対象になるかもしれませんが、今後5年、10年保有する対象としては、低いROEの銘柄は避けたいところです。

ソフトバンクは32%と十分高い値です。これはROAと比べてわかる通り、借金してレバレッジをかけているためです。

「借入金が多いということは、業績低迷時に破綻するリスクも高いのでは?」という見解もあると思います。

しかし、今後も携帯各社のシェア独占状態は続くと考えられます。さらに5GによるIoTへの展開も見えており、さらなる事業拡大が見込まれます。

こういう安泰な収入が予想される業界にあって、ドコモやKDDIのレバレッジの低さは、株主の利益を軽視しているといってもいいでしょう。一方、ソフトバンクは、株主の利益を重視しているといえます。(といっても、その大株主はソフトバンクグループですけれど。)

また、現時点でソフトバンクの配当利率は約6.9%です。2019年度のアニュアルレポートでも、(成長を続けながらも)「連結配当性向85%程度という高い水準の配当方針」を示しています。今後も、「キャッシュカウ」として株主に潤沢なリターンをもたらしてくれると期待されます。

日本国内の携帯電話のシェア推移

昨年末2019年12月のものですが、総務省から発表された「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」に携帯電話のシェア推移が掲載されています。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000660755.pdf

ここで注目したいのは、各キャリアのシェアの大小よりも、「ほぼ同じシェアで長年推移している」ということです。

楽天モバイルも従来のMVNOからMNOに移行するので、今後はこの一角を占めることになります。しかし、いったん一定のポジションを占めた後は、今後も同じように各社で「すみわけ」ていくものと予想します。

大手キャリアのニーズは続くか?

私自身は、いわゆる「格安SIM」を使っています。自宅に光回線があるので、日ごろ動画を見たり、在宅勤務したりするために携帯サービスを使うことはありません。ですので、月数ギガバイトの格安SIMのサービスで十分事足ります。

ネットでも、「大手キャリアを使い続けているのは情報弱者。とっとと格安SIMに切り替えて節約しよう」というような意見をよく見かけます。

しかし、外出先で動画を見たり、仕事をしたりすることが多い人にとっては、格安SIMの月数ギガバイトの容量では、全く足りないことでしょう。こういう方にとっては、大手キャリアの潤沢な容量のサービスの方が向いていると思われます。(そして、そういうニーズもなくならないと思われます。)

あと、これは大した話ではないのですが、LINEで「idや電話番号で友達追加する」という機能は、大手キャリアでないと使えないこと言うことに、先日気づきました。(私生活で、ちょっと恥ずかしい思いをしてしまいました。)どうも本人確認にかかわる理由のようです。ですので、LINEで新しい友達を増やす機会が多い方には、大手キャリアは必須なのかもしれませんね。

日本株も少し持ちたい

私は、基本的に日本株への投資は避けてきました。(例外的に、優待狙いの銘柄を少し持っているだけです。)

避けてきた理由は、「ROEが低い」こと。そして、その低いROEの背景にある「労働生産性の低さと、解雇規制による割高な人件費」があげられます。これは、自らも日本企業にやとわれて働いているので、身に染みて感じることです。

しかし、ROEが30%を超えるソフトバンクは、この問題を十分クリアしていると考えられます。

高配当をもたらす携帯キャリアであれば、米国にもAT&Tやベライゾンといった優良企業があります。

しかし、日本からの投資では、どうしても為替差損、外国税、売買手数料などの足かせを受けることになります。

一方日本株であれば、まず為替差損はありませんし、売買手数料も例えば楽天証券の「いちにち定額コース」なら、1日50万円までの売買手数料が無料になります。

急ぎの売買でなければ、50万円以下に分けて取引することで、手数料なしで売買することができます。

銘柄を選ぶ基準は、まずは何よりもその企業の業績が一番です。しかし、その条件をクリアする銘柄であれば、今後日本株にも手を出していきたいと思っています。

最後に

大株主であるソフトバンクグループ(9984.T)が、ソフトバンク(9434.T)の約60%の株を保有していましたが、そのうち20%ほどを売却すると報じられています。

なお、私は親会社の9984.Tには手を出すつもりはありません。名前は似ていますが、親の方はあまりにやんちゃすぎて、投資の是非の判断がつきません。

投資と人生は自己責任で。

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