早期退職「しない」リスク

早期退職というと、たいてい「今会社を辞めてしまって、100歳まで生きたら、金銭的に本当に大丈夫だろうか?」というリスクに注目しがちです。

しかし一方で、多額の退職金が見込まれている場合には、早期退職せず、会社に在籍し続けるリスクもあると考えています。

以前の記事に書いたように、将来もらう退職金は「無利子の債権」のようなものです。

(過去記事)退職金は「資産」か?

しかし、別の視点から見れば、退職金は会社にとられている「人質」とも言えます。

たいていの会社には、その就業規則に、「懲戒免職になったり、会社に損害を与えた場合には、退職金を支給しない」という旨の条項が入っているはずです。

従業員はその就業規則に合意して労働契約を交わしているわけなので、法的拘束力もありそうです。

実際には、退職金は「過去の労働に対する対価」という要素があるので、懲戒解雇されても退職金を一部もらえるようなケースもあるようです。しかし、あくまで会社側の「裁量」による部分が大きいでしょう。

もちろん、(私を含めて)ほとんどの人は、処分の対象となるような行為を進んでやろうなどとは思っていないはずです。

しかし、世の中何があるかわかりません。

満員電車の中で痴漢の濡れ衣を着せられて、潔白を証明できずに泣き寝入りすることがないとは言い切れません。

あるいは、誰かに恨みを買って、意図的にそんな罠を仕掛けられるかもしれません。

お酒に酔った時などに、一時的な感情に任せて暴行に及んでしまうようなケースがあるかもしれません。

あるいは、そういう人から自分の身を守ろうとして、相手に危害を与えてしまうかもしれません。(正当防衛がちゃんと証明できればよいですけど・・・。)

会社の業務上の不正行為のリスクもあります。

意図的に不正行為を働くつもりなどなくても、前任者から引き継いで何の疑問もなく同じことをやっていたことが、実は重大な不正だったなんてことも、よく聞く話です。

あるいは、こちらも誰かに恨みを買って、「嵌められる」かもしれません。

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きっと、とても可能性が低いことを心配しているのでしょう。

まだまだ楽しく働き続けられるのならば、そのまま働き続けたほうが、精神的にも金銭的にも幸せだと思います。

しかし、決して毎日の仕事が楽しいわけでもなく、そして、金銭的な「ゴール」が近づいているのならば、無理をしてその会社に居続けることは、精神的なリスクに加えて、上に書いたような「退職金ブラックスワン」のリスクもありますね。

退職金は、ちゃんと円満退職して、そしてその数か月後に無事支給されて、初めて実現する資産だということは、忘れないでおきましょう。

投資と人生は自己責任で。