米国企業の決算発表がひと段落して、次はそろそろ中国企業の決算が出てくる時期ですね。年度末で忙しい時期ですけど、「毎日の宿題」は、さぼらずきっちりやっていきたいと思います。
今日は、中国で産業廃棄物の処理やリサイクルを手掛ける東江環保(Dongjiang Environmental)を取り上げてみます。
2月27日に2017/12決算のpositive profit alertを出しています。内容は以下の通りです。
- 売上が18.52%増。
- 営業利益が3.85%増。
- 最終利益は11.81%減も、これは前年度の事業売却に伴うもの。この影響を除くと21.40%。
先に書いておきますが、私は以前この銘柄を買って、その後売却しています。再度買いなおすべきかどうか判断するために、2016/12までの決算内容を整理しておきます。
売上・利益
売上は伸びており、利益率も安定しています。利益は2013/12頃にスランプがありましたが、その後は成長を続けています。(2017/12の最終利益の落ち込みについてはは上に書いた通り。)
比率
SGA/売上の比も約15%と悪くない数字です。ROEがちょっと低いですが、回復傾向にあります。
バランスシート
資本はちゃんと確保していますが、左右(上下)にどんどん膨らんできています。
今回は、非流動資産と流動資産を詳しく見ていきます。
非流動資産
買収に伴うのれん代と、”construction in progress”が大きな比を占めていますね。
流動資産
2012/12に現金が一気に増えていますが、これは投資先企業の吸収(absorption)によるもののようです。
売上に対する在庫の比率はじりじり下がっていて良好です。売掛金の比率が2015/12に一気に上がっていますが、2016/12で下がっています。
キャッシュフロー
フリーCFがマイナスの年が多いです。その投資を補うために、社債発行や増資を繰り返しているようです。直近では2017/3と2017/5に、社債発行(用途を環境事業に限定した「グリーンボンド」)や第三者割当増資でそれぞれ6億元、23億元の調達を発表しています。
あまりポンポンと増資されるのは、既存の株主にとっては辛いですね。
利益配分と再投資の効果
自社株買いはしていません。配当性向はここ3年はだいたい20%くらいで推移しています。
2009年から2016年の8年間の利益増加と内部留保累計の比率は25.33%。結構いい数字だと思います。
株価
10年チャートです。
事業拡大とともに株価も伸びていますが、きれいな右肩上がりとは程遠く、上下変動が激しいですね。
PERは16です。
以前にこの銘柄を買って、売ったのは、まだ同社がGEM市場に8230.HKというコードで上場されていた2005年から2006年にかけてのことです。まだちゃんと売買の理由を記録する癖をつけていなかったので、なぜ自分が買って売ったのかはわかりませんが、その後も気になっていたのでニュースはチェックしていました。
中国の環境対策が待ったなしであることはよく知られていますし、政策の追い風を受けて同社の事業も急激に伸びています。しかし、あまり株主に報いるタイプの企業には思えません(そもそも、中国企業にそういう企業は少ないみたいですが)。
少なくとも今の時点では、「買い戻す」と判断は難しいですね。
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