International Flavors & Fragrances Inc. (IFF)は、香料と香味料の世界大手です。
食品向けの香味料と、化粧品や日用品など向けの香料を製造販売しています。
同社の強みは、「同社の製品が、顧客企業にとって取るに足らないコストであるにも関わらず、顧客企業の製品の品質に大きく影響すること」です。
顧客企業にとっては、他社に乗り換えることによる原価低減効果よりも、品質リスクの方が大きいため、「スイッチングコスト」による堀を築けています。
2018年10月にイスラエルの同業大手Frutarom社を買収しました(関連過去記事)。
買収額は日本円で約8,000億円にものぼり、これを借入金と株式交換で補っているため、バランスシートはパンパンに膨らみ、キャッシュフローも大きく投資超過になっています。
さっそく財務指標を見ていきましょう。
PL: 売上は17%増、営業利益は0.42%増、最終利益は昨年のTAX Actの影響により14.08%。F社買収の効果は買収後の3か月弱だけ反映されているとのこと。
BS: 買収により長期債務と資本が大幅に膨らんでいます。
CF: 借入金で買収したため、投資CFがマイナスに、財務CFがプラスに、それぞれ大きく突き出ています。
比率(その1):BSが膨らんだ分、ROAとROEが大きく下がっています。2019年度以降買収したF社の利益が反映されてくれば、改善されるのでしょう。
比率(その2): 利息/売上(左軸・青線)と、債務/利益(右軸・赤線)です。約20年分の利益に相当する債務は、結構大きい数字だと思います。
株主還元:
利益配分と再投資の効果:ちょうど10年分。利益増加を内部留保累計で割った比率は7.3%。あまりいい数字ではありません。これも2019年度以降は改善されてくるのでしょうが、過去を振り返っても20に届いていません。
まとめ
同社の現在の状況は、例えれば、蛇が自分の体の何倍もある動物を食べて、おなかがいっぱいになっている状態です。
飲み込んだ餌がどのように消化されて、同社の血となり肉となるのか、今後も注意して観察が必要と考えています。
追記
まだマーケットの途中ですが、決算発表をうけて株価は大きく下げています。
一見買い時に見えますが、今回の買収が同社の永続性に影響を与えないかは、ちゃんと確認が必要でしょう。
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