8月はじめにInternational Flavors & Fragrances Inc. (IFF)の株価が大きく下げました。
原因は、過去記事にも書いた通り、2Qの決算が予想を下回ったことと、2018年に買収したイスラエル同業Frutarom社の不正支出スキャンダルのためです。
特に、不正支出の件については、Yahoo Financeのニュースに連日クラスアクションへの参加を呼び掛ける法律事務所の記事であふれています。
そのせいか、その後も株価はじりじりと下げています。
1ヵ月チャート:
このスキャンダルやクラスアクションが今後どう推移するかはわかりませんが、10年保有するつもりでいるのなら、「一時的なこと」として無視してよいと思います。
しかし、それよりも、同社の業績に長期的に影響を与えそうな要因がもう一つあるようです。それは、バニラやシトラスといった香料のための一時原料の価格高騰です。
https://finance.yahoo.com/news/international-flavors-down-19-ytd-120612761.html
先に書いた通り一時原料の価格高騰と、Frutarom社買収に伴う負債のコストが、IFFの株価に影響を与えていると書かれています。
金や原油の価格についてのニュースは日ごろ目にすることが多いですが、バニラの価格なんて、そもそもどのくらいかさえ知りませんでした。(というか、バニラってどんな植物かも、見たことがありません・・・)
「バニラ 価格」などのキーワードで検索した記事を読むと、どうやらここ数年でバニラの価格は数倍に高騰しているようです。
焦点:銀より高いバニラ、業界揺るがす価格高騰の「裏事情」 https://jp.reuters.com/article/mccormick-vanilla-idJPKCN1T803V
バニラの8割近くが、アフリカのマダガスカル島で産出されるようですが、ここ数年サイクロン、干ばつ、として盗難の被害による産出量が落ちているとのこと。
影響が及ぶ企業としても、IFF以外にMKC、ネスレ、GIS、ユニリーバなどが挙げられています。
価格上昇の傾向はしばらく続くでしょう。投資家が判断しなければならないのは、これらの食品企業がそのコスト上昇を製品価格に転嫁できるかどうか、という点です。
競争力や顧客への交渉力のある企業ならそれができるし、ない企業ならそれができません。
MKCやGISは価格への転嫁に成功しているようです。
IFFがこのコスト上昇を乗り切れるかどうか、次の決算以降見ていく必要があると考えています。
投資と人生は自己責任で。