先日書いた「スタグフレーションに備える」という記事で、ディフェンシブ銘柄を持つことがその備えになると書きました。
ディフェンシブ銘柄の一つの分野として、ケロッグ(K)、クラフト・ハインツ(KHC)、ホーメルフーズ(HRL)、コカ・コーラ(KO)といった食品ブランド企業があげられます。
これらの食品ブランド(ナショナルブランド、NB)を脅かす存在として、小売店によるプライベイトブランド(PB)があります。しかし、これまでのPBよりはるかに強力な脅威が、アマゾンによってもたらされようとしているようです。
アマゾン攻勢、食品NBに打撃 ― コンビニ・スーパーなどリアル店舗を拡大(日経ビジネス)
ちょっと前に、入店時にスマホで認証すれば、店内の商品を手に取って店を出るだけで生産してくれる店舗「アマゾン・ゴー」が報じられましたが、その店舗を「2021年までに3000店舗出店」するのだそうです。
そのアマゾン・ゴーでどんな商品が扱われるかを、同社が買収したホールフーズの店舗に見ることができます。
この記事によると、なんと、飲料売り場に「コカ・コーラ」を置いていないのだそうです。
日本にも、米国にも、そしてその他の国々にも星の数ほどある食品小売店で、コカ・コーラを置いていない店舗がいったいどれだけあるでしょうか?
いくら優れたブランドを持っていても、顧客に最終的にアプローチする小売店で扱ってもらえなければ、息の根を止められたのと同じです。そして、アマゾン・ゴーの消費者への浸透とともに、先にあげたような食品ブランド企業も衰退を余儀なくされるかもしれません。
本当にそうなるかどうかはわかりません。「アマゾン・ショック」に類似した事例を見つけることはできませんから、歴史から学ぶことは難しいです。
私のような弱小個人投資家としては、アマゾン・ショックの犠牲になりそうな食品・飲料企業を避けることくらいしか、策はありません。
逆に、アマゾンの影響を免れそうなディフェンシブ企業は、米国株銘柄でいれば、例えば以下のようなものだと思います。
- Waste Management(WM)― 廃棄物処理。誰もが嫌がるNimby事業。
- International Flavors & Fragrances(IFF) ― 原材料の独占。
- Philip Morris(PM)― たばこ製造・販売の免許をアマゾンが取得する可能性は低いでしょう。
- Johnson & Johnson(JNJ)― こちらも、アマゾンが医療分野に進出する可能性は低そうです。
要は、アマゾンで簡単に作れない商品やサービスを作っている企業です。
誰でも作れる製品だけれど、ブランドというイメージだけで付加価値を作って売っている企業は、アマゾンの餌食になりそうです。
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