1. 安定した成長
2. そもそも儲かる事業
3. 利益配分と再投資の効果
4. そのほかの指標
以下、それぞれについて詳しく説明します。
1.安定した成長
極端な右肩上がりよりも、ほとんど成長していなくてもよいので毎年確実に利益を上げている企業を選びます。
なぜなら、右肩上がりの業界は、競合の参入も激しく、いずれ競争激化して利益が薄くなることが多いためです。
それよりも、参入障壁(ブランド、規制など)がしっかりしていて、今後10年、20年後も、同じように利益を上げ続けられることが予想される企業を選びます。
2.そもそも儲かる事業
そもそも儲かる事業かどうかを判断するために、以下のような指標も重視します。
- 売り上げに対する利益率が、せめて二桁(10%以上)あること。
- ROEが、少なくとも15%以上、できれば20%以上あること。ただし、ROEは借金してレバレッジをかければ上げられるので、ROAもみておきます。
3.利益配分と再投資の効果
一般的に、利益の配分は以下の3つに分けられます。
1) 内部留保(再投資)
2) 配当
2)と3)をあわせると「株主への還元」になります。
株主への還元が多いに越したことはないですが、内部留保もそれが企業の成長につながっていればそれはそれでよいと考えます。
具体的には、たとえば10年の期間をとって、その期間中の「内部留保の累計」と、その期間の「利益の伸び」の比を重視します。具体的には以下の数値です:
これもROEと同じく20くらいあれば十分と考えています。
本当は、現在の100万円と10年前の100万円では現在価値が異なるため、割引率を使って計算する必要があります。
しかし、あくまで銘柄どうしの「横の比較」が目的なので、計算を簡単にするために割引率は無視します。
たくさん内部留保しているのに利益が横ばい、ということは、「現状維持のためだけに再投資が必要」ということです。
永続的な企業は、ほとんど再投資をせずとも、現状の利益を上げ続けることができます。たとえば、ブランドのしっかりした食品企業などは、同じ製造設備をそれが壊れるまでずっと使い続けられるので、現状維持のための再投資は少なくてすみます。
一方で、通信業界やIT業界(ネットゲーム業界を含む)など技術の進歩が激しく、常に多額の再投資をし続けなければ、すぐに競争に取り残されます。
4.そのほかの指標
ただし、これらの指標に異常があっても、それが最新年度で起こったことであり、かつ、今後回復が見込めるのなら、むしろ「買い時」と判断します。(そういうときは株価が下がっていることが多いため。)
①「販管費の売り上げに対する比率」をみます。
比率の絶対値としては30%を越えると高過ぎと判断します。(間接部門に無駄が多いということ。)
前年度の比も確認します。増えるのはたとえば販路を拡大したような場合です。販路拡大自体は悪いことではないですが、その後1年、あるいは2年たって、売り上げ・利益として、その成果が表れているかを確認します。当然、逆に比率が下がっている場合には効率化が進んでいる(好材料)と判断します。
一時的に売り上げや利益が低迷しても、比率があまり変化していない場合には、リストラなどの努力で利益を確保しようとしていると、プラス評価をすることもあります。
②「税金支払い額と税前利益の比率」をみます。
米国企業などではあまり心配はないと思いますが、中国、アジア、その他新興国の企業を買う場合には、その国の法人税率と比較して、極端に低くないかをチェックします。
極端に低い場合には、利益を水増ししている可能性が高いです。もっとも、政策により税率を下げられている場合もあります。
③「在庫/売上」、「売掛/売上」の比率もみておきます。
これらは、絶対値よりも「前年との比較」で見ます。どちらも、前年より極端に大きくなっている場合には、「無理をして売り上げや利益を上げている」可能性があります。
なお、企業の不正会計を見抜く方法については、勝間和代さんの「決算書の暗号を解け!」という本が参考になります。
④キャッシュフロー(CF)も見ておきます。
大きく、「フリーキャッシュフロー」(営業CFと投資CFを足したもの)が継続的にプラスになっていることを確認するくらいで十分と考えます。
もっとも、安定して利益を上げている企業ならだいたいプラスになっていることが多いです。
また、買収などに伴い一時的に投資CFが大きくマイナスになることがありますが、あくまで一時的なものであれば大丈夫でしょう。