お茶の水大学名誉教授で文学者の外山滋比古先生の本です。「思考の整理学」をはじめとした多くの著書を出されています。
リタイア後の生き方について書かれた本はたくさんありますが、90歳をすぎてなお現役として活躍されている方が書かれたものだけに、説得力があります。
・家から外に出る。自分の足で歩く。
・自分自身のために自分で料理をすべし。
・40代くらいから「第二の人生」について考え準備を始める。そのときに、(たまたま今の組織で発揮している)「得意」にこだわらない。
・古い友人関係にこだわらない。冠婚葬祭などは「義理を欠く」。
・今自分が必要な友人を新しく作る。君子の交わり淡きこと水の如し。集まりのホスト役を買ってでる。
・読書は新しい本を多読するよりも、心に残った本をじっくり読み直す。
・欲を捨てる。子や孫に資産を残したいと思うのは「欲」。特殊詐欺はその欲につけ込んだもの。
など、いろいろと参考になることが書かれています。
意外だったのが、株式投資と資産形成について薦められていることです。
著者の父親が株好きだった影響を受けて、著者も30代前半から株式投資を始めたようです。当時のことなので、当然日本株です。高度成長の波に乗って結果は上々だったようです。
著者が東京教育大学を辞職するにあたって、株式投資で築き上げた資産があったことが、心の支えになったというエピソードが書かれています。
当時のことですから、大学の教員が株をやっている、なんていうと世間から厳しい目でみられるにきまっていたので、他人にはあまり話さなかったとのことです。そんな時代にしっかり株式投資で資産形成できたというのは、やはり「自分でものを考える」という姿勢があったからなのでしょう。
今でこそ、株式投資をしているといってもあまり白い目で見られることは以前より少なくなりましたが、それでも身近な人にあれこれと話さない方がよいことには違いはないと思います。