勝間和代さんがメディア等で有名になる直前に出た本です。
企業の裁量の大きい決算書から、不正会計をどうやって見抜くか、というテーマについて書かれたものです。
例によって、このブログで注目すべき点をまとめてみます。
- 「固定資産」は、(資産というよりも)将来発生する費用であると考えるべきである。買収に伴う「のれん代」もこれに含まれる。
- 決算書に記載される税額は、実際に支払った額ではなく、企業が当該年度の税額とみなした額である。(実際に支払う額と異なることがある。)
- 「会計発生高」、つまり、会計上の利益と営業キャッシュフローの差に注目する。この会計発生高が大きいということは、現金化されていない利益が大きいということ。利益が年々増えているのに、営業CFがいつまでたってもプラスにならないという会社は、「何かがおかしい」と考えるべき。
- ROAが年々下がっている企業は危険。
- 粉飾の王道は、費用を先送りしたり、引当金を低めに見積もること。
- 同業他社と比較してみることが重要。同業他社に比べて、とびぬけて高かったり、低かったりする数字には注意が必要。
- 営業CFが順調に伸びている企業が健全な企業。
- 売掛金、在庫(棚卸資産)が(売上に対して)急に膨らんでいるのは危険なサイン。なぜなら、来期の売り上げを前倒ししようとしたり、今期のコストを来期に繰り越そうとした結果である可能性が高いから。
- 社債、とくに転換社債の発行は要注意。なぜなら転換社債の発行は、株価を高く維持するために不正会計のインセンティブになりやすい。
- 法人税率が適正かどうかをチェックする。法人税率が低すぎるということは、利益を水増ししている可能性が高いためです。
要は、毎年の決算書をちゃんと見て、チェックすべきところをチェックしようという内容です。
特に、損益計算書(P/L)、バランスシート(B/S)、キャッシュフロー計算書(C/F)の3つを合わせてみるべきと主張されています。P/LやB/Sは企業の裁量で好きに修正できる余地が大きいのに対して、C/Fではそれがやりにくいからとのこと。