投資における大罪 ― マーケットの動きを予測すること

3月の「コロナショック」も、いったん半値戻しして、いまは凪(なぎ)のような状態になっていますね。

S&P500 1年チャート:

この先マーケットがどう動くのか、私を含めて気になっている投資家の方は多いと思います。

いまだコロナ禍が世界的には収まっていないことや、いったん収まった地域でも「第二波」が来るかもしれないことを考えると、また大きく下げる「二番底」が来そうな気がします。さらに、もうすぐ出るはずの夏のボーナスを投入したいので、「下げてほしい」という「願望」もあります。

しかし、いくら予想したところで、株価の動きは自然現象ではなく、その株価の動きを見て判断したり狼狽したりする人々(やAI)の動き(社会現象)であるので、言い当てることはそもそも無理だと考えています。

バフェットとソロス 勝利の投資学」という本があります。

長期投資家であるバフェットと、天才トレーダーであるソロスという、一見正反対のアプローチをする投資家2人ですが、「投資のプロ」として共通すべき点がたくさんあり、我々もそこから学ぶべきことがあることを示した本です。

本書の冒頭に「投資の七つの大罪」という章があります(第二章)。そして、その七つの大罪の最初の一つとして、「次にマーケットがどう動くかを予測しなければならない」(と考えること)が挙げられています。

バフェットが市場の値動きに関心を持たず、現在の価格と企業価値の比較だけで売買することはよく知られています。

ソロスはトレーダーなので短期の値動きを狙って売買しますが、自分自身が市場を予測する能力にたけていないことを公言しています。(かつてのパートナーであるジム・ロジャーズも同じようなことを言っていたと思います。)

それでもソロスが投資で成功している理由の一つは、自分が失敗したと判断した時の逃げ足の速さです。同書によると、その逃げ足の速さは、ユダヤ人としてナチス支配下のドイツで生き延びた経験が大きく影響しているとのこと。いったん家族全員バラバラになり、それぞれ名前を変えて生き残り、アメリカで全員無事再会を遂げたのだそうです。(こんな話を聞くと、戦後の日本でぬくぬくと育った自分に、彼のような真似は逆立ちしてもできないと思ってしまいます。)

世界を代表する投資家であるバフェットやソロスですら不可能な「市場の予測」を、私のような素人がやろうとすること自体が大間違いなのでしょう。

ならば何をすべきか?

市場がどう動いても、つまり、この先上がっても、下がっても、あるは長い間動かなくても、それぞれどうするかをあらかじめ決めておくことです。

私は、この凪のタイミングでじっくり考えて、いくつかポジションを入れ替えました(0177.HK, 3918.HKを全売り。KOを新規買い)。

また、この売買に伴って、ほぼフルポジの状態から、キャッシュ比率を10%くらいにまで上げました。

もしこの先上がれば、あるいは、大きく動かなければ、キャッシュ10%という心地よい状態を維持していきたいと考えています。ボーナスが出るまで相場が大きく動かなければ、1655.Tあたりで今年のNISA枠を埋める予定です。

そして、もしこの先再び大きく下げれば、この10%のキャッシュと夏のボーナスで果敢に買い増しをしていきたいと考えています。

バフェットが、航空大手4社の売却に続いて、USバンコープやゴールドマンサックスといった金融株も売却したというニュースがありました。もちろん、「将来の値動き」ではなく「将来の企業業績」を予想しての判断だと思います。

ちなみに、先の「七つの大罪」の二つ目は、「導師(グル)信仰」です。自分で投資判断をしなくても、成功した有名な投資家の尻馬に乗っていれば大丈夫と考えることです。

それ以外の「大罪」については、同書をご覧ください。

投資と人生は自己責任で。

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