[読書メモ] 世界のビジネスエリートが身につける教養 ― 西洋美術史(木村泰司)

(書籍紹介としては完成していない、自分向けの読書メモです。)

●古代ギリシャ・アルカイック時代(Archaic Greece)(前600 ~ 前480年)

  • 美しい男性の裸体を賛美。人間の姿は神々から授かったものであり、美しい人間の姿は神々も喜ぶ、と考える。
  • 男性美を追求した「ギリシャ彫刻」が発展する。
  • エジプト美術の影響を受けた直立したポーズが特徴だが、エジプト美術と違い、支えがない独立像。
  • 少年・青年を意味する「クロース」と、少女を意味する「コレー」。

代表的なクロースの像(Wikipediaの画像へのリンク)

●古代ギリシャ・クラシック時代(前480 ~ 前323年)

  • アテネとスパルタが対決した「ペロポネソス戦争」(前431~前404年)を境に、享楽的な嗜好が高まり、かつての「崇高で荘重」な様式から「優美さを漂わせた」ものへ変化していく。
  • 「感情をあらわにすることは慎むべき」というギリシャ人の意識から、表情に乏しい彫刻が多い。

●古代ギリシャ・ヘレニズム時代(Hellenistic period)(前323~前30年)

  • アレクサンドロス3世のペルシャ遠征により、ギリシャ文化圏がオリエントやエジプトに一気に広まる。両者の文化が融合された「ヘレニズム文化」が生まれる。
  • 神々をあがめるギリシャ的な思想から、個人的感覚や個性を重視した「写実主義」へ変化した。官能性に強いものが多くなった。
  • 現存するギリシャ美術のほとんどはローマ人による模刻(コピー)。前2世紀にローマがギリシャを支配したことにより、多くのギリシャ美術がローマにもたらされる。

●ローマ

  • ヘレニズムの影響とローマ人の先祖崇拝の習慣により、肖像彫刻が発展。ただし、全身を好んだギリシャ人と異なり、ローマ人は頭部像や胸像を好んだ。
  • ギリシャ人の「美=善」という信念と異なり、老人への経緯の象徴として「しわ」を表現した。

●ローマ建築

●ローマの衰退とキリスト教美術の芽生え

  • 313年の「ミラノ勅令」によりキリスト教が公認された。
  • 392年にキリスト教がローマで国教化され、それ以外の宗教は「異教」として排斥され、ギリシャ・ローマ芸術はいったん幕を下ろす。

●宗教美術、「ロマネスク(Romanesque)」

  • 文字が読めない人向けの「目で読む聖書」として宗教美術が発展。
  • ローマ教会とフランク王国の結びつきにより、キリスト教が西ヨーロッパで広まる。
  • フランク王国: 5~9世紀に西ヨーロッパを支配したゲルマン人の王国。
  • その後のフランク王国の分裂により、北ヨーロッパは混乱の時代へ。修道僧は町から離れた場所に「修道院(Monastery)」を建てるようになる。
  • →1000年過ぎ: ロマネスク様式石造、弓型の曲面天井。それを支えるため壁は厚くなり、窓は小さくなった。
  • 「半円」がロマネスクの特徴 - アーチがとがっている尖頭アーチはゴシック様式。
  • ロマネスク様式彫刻の特徴 - 稚拙、おどろおどろしく大げさ。字の読めない人に訴えかけるよう「わかりやすく」。

●ゴシック美術(Gothic art)

  • 西暦1000年の「終末」思想により、巡礼地への旅が盛んに。その巡礼路に多数の修道院が造られる。結果、定期市が立ち経済も発展し、「街」が生まれる。
  • 11世紀の十字軍遠征により、多くの「聖遺物(Relics)」がヨーロッパにもたらされる。
  • フランク王国が「フランス王国」へ。
  • パリ郊外の「サン=ドニ修道院」の長となったシュジェール(Suger)。1144年に同修道院の聖堂の建て替えに着手。→ゴシック様式誕生。(のちのルネサンス時代のイタリア人に軽蔑の意味を込めて「野蛮人(Goth/ゴート)」の様式」と呼ばれたことから。)
  • ゴシック様式の聖堂を地域にも広めることで、フランス王の威信と権力を知らしめようとした。
  • 天井の重量を、壁面ではなく支柱と「外部からのフライング・バットレス」で支えることにより、壁を薄くできた。→ステンドグラス―ゴシック美術の代名詞―の普及。
  • 宮廷礼拝堂サント・シャペルシャルトル大聖堂 - 代表的なゴシック建築。

●国際ゴシック様式(International Gothic)

  • 建築家、彫刻家、石切り職人、ステンドグラス職人、ブロンズ鋳造職人、金銀細工師などの移動を伴って、フランス、イタリア、ドイツ、フランドルなどに広まる。
  • 写実主義をベースとした細密な描写が特徴。装飾的、幻想的、繊細で優美な宮廷趣味が漂う。
  • (天井の楽園ではなく、)人々が生きている地上の世界、自然世界が注目された。(神の世界から、現世へと視線・意識が移行)
  • 「ペリー公のいとも豪華なる時祷書(じとうしょ/book of hours)」 - 世界一美しい本とされる。

●ルネサンス(Renaissance)

  • 14世紀のイタリアで興り16世紀まで続いた、キリスト教の国教化以来否定されてきた古代ギリシャ・ローマの学問・芸術の再生。
  • 中世の神と宗教がすべての時代から、古代ギリシャ・ローマのような「人間」を強く意識する時代へ。
  • ジョット・ディ・ボンドーネ( Giotto di Bondone)によるスクロヴェーニ礼拝堂の壁画(ユダの接吻)。
  • 美術家の、労働者的な職人という社会的地位から、文化人貴族的な地位への向上 - レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ(メディチ家に育てられる)、ラファエロ。
  • ローマ劫掠(ごうりゃく)― スペインによるローマ市民の殺戮・暴力・強姦・略奪によりルネサンスに終止符が打たれた。

●北方ルネサンス

  • 15世紀、イタリアのルネサンスと時を同じくして、ネーデルラント(オランダ、ベルギー、ルクセンブルク)、ドイツなどで勃興。
  • 写実性の高い室内描写。シンボリズム ― 「白百合=純潔」「水盤、タオル=純潔」「ろうそくの火=神」「犬=貞操」。17世紀のオランダの静物画発展の下地に。
  • イタリアへも影響を与えた。ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」。
  • 台頭する市民への戒めの絵画 ― クエンティン・マサイス「両替商とその妻」。
  • ブリューゲル ― 「バベルの塔」「ゴルゴタの丘への行進」「幼児虐殺」「足なえたち」。

●ヴェネツィア派

  • 「デッサン」のフィレンツェ派、「色彩」のヴェネツィア派。
  • ヴェネツィアの自由と享楽が生み出した世俗性の強い絵画。
  • ジョルジョーネの「嵐」 - 何が主題なのかわからない不思議な作品。
  • ヴェネツィア派最大の巨匠、ティツィアーノ・ヴェチヴェリオ。
  • ヴェロネーゼの「レヴィ家の饗宴」― 当初の主題が「最後の晩餐」であったにもかかわらず享楽的な宴会のような場面に。

つづく