[書籍紹介] バブルの物語(ジョン・K・ガルブレイス)

各国市場が絶好調の今こそ、読んでおくべき本と思います。

もっと、今がバブルかどうかは、結局過ぎてみないとわからないのですが。

古典的なチューリップバブル、サウスシーバブル(南海泡沫事件)、そして1929年のアメリカ大恐慌などを例にとって、それぞれのバブルがどのように形成され、そしてはじけていったかが記されています。

また、最後の方で日本のバブル崩壊についても少し触れられています。

分量は少なめの軽い本です。

特に、1929年大恐慌については、日々どのような変化があったかが記載されていて、もし自分がその時にその場にいたら、いったいどのようにふるまえただろうか、と考えさせられてしまいます。

  • 1929年10月21日(月)― 出来高伴い安値で始まる。
  • 同24日(木)― 暴落初日。
  • 同28日(月)― 大量の売り。
  • 同29日(火)(原文では木曜) ― 最悪の日。

たったの1週間余りの間に、一気に株価が暴落しています。この状況で逃げようと思っても、おそらく逃げ切れないでしょう。

1929年のバブル崩壊時の様子については、同著者の「大暴落1929」に、日々の株価の推移とともに詳しく書かれています。(10月29日には、たったの1日で株価が三分の一にまで下がっています。)

例によって、このブログで教訓とすべきポイントです:

  • バブルの崩壊は急激に起こる。したがって「はじけ初めてから逃げよう」としても無理である。
  • バブルがはじけるたびに人々は教訓を得るはずなのに、なぜバブルが繰り返されるか。その一つの理由は、金融に関する記憶が極度に短い(20年程度)であるため。要は、金融業界の世代交代により、過去の教訓が忘れ去られてしまう。
  • バブルの条件:
    • 一つに、「何か新奇らしく見えるもの」(チューリップの西欧への到来。株式会社の発見)
    • 一つに、新しいレバレッジ(てこ)が提供されること
      • 大恐慌時には10%の証拠金で株が買えた。
      • 1969年のインヴェスターズ・オーヴァシーズ・サーヴィセズ(IOS)の崩壊時には実に「6階建て」の投信の投信が作られていた。
      • 1987年10月のバブル崩壊時 - LBOという新しいてこ。
    • 一つに、「天才」としてもてはやされる人が出てくる
      • ポンジスキームのチャールズ・ポンジ。
      • 1929年の大恐慌前にもてはやされた大銀行の頭取、金融家、学者たち。その中の一人のイェール大学のアーヴィング・フィッシャーという人は、1929年の秋(崩壊の直前)に、「株価は永久的に高い高原状態と見てもよさそうな水準に達した」と発言しています。

価格が上昇し続けていることが、新たな参入者の動機を正当化しているとも書かれています。なんか、最近のビットコインの話を聞いているような・・・。

最後に、この本で一番印象に残った言葉を。

「あらゆる人は、最も幸せな時に最もだまされやすいものだ。」